monologue


 目の前にある紫暗の瞳が。
 時々、ひどく儚く見えることがある。
 そういうときに、この人が強いのか弱いのかと聞かれれば、それでも、強い、と答えるだろうけど。
 でも。
 その儚げな瞳に。
 結局、許してしまうのだ。

 体を重ねることを。



 体の中を渦巻く熱とは裏腹に、頭の芯は冷めている。
 肌をたどる指に、唇に、絶え間なく嬌声をあげながらも、どこか遠くで自分を見ている。


 この人が俺をもとめるのは、単に自分を立て直すため。

 強い、強い人でも。
 ずっと強いままではいられない。
 ずっと張りつめたままでいれば疲労して、いつか簡単に壊れてしまう。

 だから、これは壊れないための行為。

 ここにあるのは甘やかで、ふわふわした優しいものではない。
 たとえば『愛』と呼ぶような。


 吐き出してしまえばいい。
 弱さも、不安も、脅えも、何もかも全部。
 全部―――――。

 そして、いっそう強く輝くといい。
 憧れてやまぬ、きんいろのたいようにも似たその輝きで。

 そのためならば。

 これも、悪くはない――。



 もうすぐ迎える限界に。
 高く高く名を呼びながら。
 ふと、上げた視線に映るのは。

 真紅のチャクラ。


 天に一番近い人を、大地の化身と言われる自分が抱きしめるのは。

 地に貶めることなのだろうか、と。
 頭の隅で思った。


 そして。


 押し流されていく熱い迸りに身を委ねながらも。

 唇に淡く笑みを刻んだ。



illustrated by みつまめさま/みつまめBOX
written by 宝厨まりえ


blogで走り書きしましたSSにみつまめさんが素敵なイラストを描いてくださいました。
そう。こういう笑みだったのだと思います。
昏くて、でも満足げな笑み。
実はこれ、別の方とのメールで「カッコいい悟空が書きたいっ!」と主張していたのからきていまして…。いつも相手をしてくださってありがとうございます。この場を借りてお礼を申し上げます。
そして。
別バージョンみたいな感じ(←勝手にそう思ってる)でmichikoさんがSSを。
こちらはみつまめさんのところのログ倉庫で読めますので、伺ってみてくださいv

…たぶん、恋愛感情とは違うところで、この悟空さんは三蔵が一番なんだと思います。
他にも良いと言ってくださった方がいて。結構頑張って「カッコいい悟空」と念じながら書いていたので、反応があってとっても嬉しいですv