君は今どこに



夜、見上げる天井に君の影が映る。
まるで旧い映画のように。
どうして目を閉じても消えないのだろう。
君はいなくなってしまったのに
影だけが立ちあらわれ、囁きかける。
古い傷痕からまた新らたな血が流れ出す。
ずっと塞がることのない傷痕から。

窓の外から雨音が聞こえる。
ふと向けた瞳に映るのは、窓を伝う水滴。
それが外の雨なのか
頬を流れ落ちる涙が映ったものなのか
今はもう、わからなくなっていた。

恋心など凍てついてしまえばいい。
君のことなど忘れてしまえばいい。

だけど。
天井には、今も影が映り続けている。

冷たい雨が降りしきるなか
君は今、どこにいるのだろう。

ただ一瞬でもこの手を離すべきではなかったと
悔やむ想いだけが一生わだかまり続ける。


nonameさま


香港在住の方より、またまたvariationのイメージで詩をいただきました。
多少、日本語らしくしてみましたが、天井に映る影とか、窓の水滴とか。なんだかとっても綺麗な感じはそのままです。
こういうのは感性ですよね。…私の手直しで消えてないといいのですが。
どうもありがとうございました。