ちゃんとメシ、食ってるかな。
真ん円の月を見上げながら、そんなことを思った。



Swear It Again


あまり食べることに執着しない人だった。
好みには、かなーり偏りがあったけど。
食べること自体には、あまり興味がないみたいだった。
食べることは、生きることなのに。
だから少しでも食べることは楽しいんだって思ってくれるように、食事は賑やかにとるようにしていた。
ま、うるさいのは、半分地だけど。
でもって、やってるうちに当初の目的は忘れて、騒いじゃうこともたくさんあったけど。
特に西への旅に出てからは、そういうパターンが多かったかも。

でも。
ハリセンを振り回して止めに入る三蔵は心なしか楽しそうで。
叩かれるのは痛いけど、なんだか安心するような、安堵するような、そんな気持ちになった。


だから。

――ちゃんとメシは食ってるだろうか。


いま、あなたと別れて、それが一番気にかかる。





といってもまぁ、子供じゃないんだから、必要に迫られればご飯くらいは食べるだろうけど。

けど、きっと『必要に迫られて仕方なく』なんだろうな。
あんな風に楽しく食べることなんてないだろうな。

それは、やっぱり少し気にかかる。




正直、三蔵がどうして飛び出していってしまったのかわからない。
引き金は俺だったっていうのはわかるけど。

でも、それが俺の命が失われるかもしれない、という理由だったとは思えないから。


なににも執着しない。

そう公言していたはずなのに。



だから、俺の命にだって執着してないはずなのに。


でも。
それでも。
なににも執着しないといいつつも、本当は自分が是とすることしかできない人だというのはよく知っている。
だがらあんな風に飛び出していった。


離れるは俺の方からだと思いこんでいたみたいだけど。
結局は、自分の方が先に飛び出していった。

だからいったのに。
俺から離れることはないって。



「さんぞーのあんぽんたん」

小さく呟いてみる。

「生臭坊主、タレ目、ハゲー」

いくら悪口を連ねてみても、応えはない。

それはちょっと淋しいかも。
と考えて、でもそれじゃあマゾみたいだよ、とちょっと笑う。



まったく、もう。

ふっと、息を吐き出して、真ん円の月を見上げる。




もう一度、この手に取り戻してやる。


そして。
もう一度、誓おう。


俺からは離れない、と――。




どこかで同じ月を見ている三蔵にとって、この誓いが意味のないものだったとしても。
それでも――。



もうすぐ再会だと(思うと)いうのに、こんなのを書いて激しく後悔しそうですが(笑)
実はかなり前からのイメージだけはありまして。
遅くなってしまってすみません<(_ _)> あんど、なにやらわけのわからないもので、本当に申し訳なく…。