(おまけ)
「……見てるだけで良かったんじゃないの?」
だんだんと深くなるキスに蕩かされそうになりながら聞く。
「だけ、とはいってねぇよ」
また唇が重なる。
絡めてくる舌に素直に答える。だってそうした方が気持ちいい。繰り返されるキスに頭の芯が痺れたようになったころ、大きな手に背中を撫でられた。
手は背中をたどるように下に降り、服の裾からなかにと忍びこんでくる。
「ちょ……っ」
さすがにまずくて身を引く。
が、すぐにまた抱き寄せられ、体を密着させられる。
「三蔵、これから八戒んトコ……」
「行くっていう返事もしてねぇ」
「って、ダメだったらっ」
脇腹を撫でていった手が服を捲りあげる。慌ててその手を掴んで止めようとするけれど。
「やっ」
きゅっと胸をつままれる。
「三蔵っ」
腕を掴んで、身を引いて逃れようとするけれど。
「ふ、ぅっ」
今度は唇で胸を食まれて、身を竦める。そちらに気を取られていると、するりと手がズボンの内側に滑りこんできた。
「……っ」
ぎゅっと目を瞑って、唇を噛む。
「だれもいねぇのに、なんで声を殺そうとするんだ」
けど、そっと唇を指で撫でられて、思わず目を開いた。
と、そこに。
間近に、すごく綺麗な顔があるのが見えた。
宝石のような暗紫の瞳に映っているのはただ俺ひとりで――。
心臓が跳ね上がった。
「聞かせろよ、声」
低く響く声に、ゾクゾクとした痺れが体を走り抜けていく。
「ちゃんと欲しがってることを教えろよ」
軽く、唇が重なる。
触れることにドキドキしないなんて、嘘。
心臓が壊れるんじゃないかってくらいに鼓動が速くなる。
「ん、あ……っ」
三蔵の手の動きに体がアツくなって――ヘンになりそう。
「三蔵」
熱に浮かされて、もうなにも考えられなくなって腕を伸ばす。
「良い子だ」
囁き声とともに、綺麗な顔が近づいてくる。
そして、なにもわからなくなる。
――三蔵と、三蔵が生み出す熱以外は。