38. ゲームオーバー


 名前を呼んで、駆け寄る。にっこりと笑って、纏わりつく。
 無邪気を装う笑顔。いつまで、通じるだろう。
 だって、こんなにも胸が苦しい。
 あなたの姿を見るだけで。
 あなたに触れるだけで。
 体が震えて、想いが溢れ出しそうになる。
 三蔵、三蔵、三蔵――。
 もう、無邪気なままではいられない。



 その笑顔に。
 何度、手を伸ばして、閉じ込めてしまおうかと思ったことか。
 誰にも見せたくない。
 他の人間に笑顔を向けるたびに、胸に湧き上がる暗い想い。
 それを決して、お前は理解することはないだろう。
 引き寄せて、抱きしめたら、どんな反応を示すだろう。
 悟空――。
 いつまでも保護者でいることはできない。



 想いは錯綜し、だけど、じりじりと終わりは近づいてくる。
 ゲームオーバーの文字が浮かぶのはもうすぐ。
 そして、その先に待っているのは――?