Off Limits - Promise -


「ふ……っ、あ……」
 月明かりを背に浮かび上がるかのような華奢な裸体。そっと引き寄せて、摘み取るようにキスをする。
 味わうように唇を吸い、舌を絡ませる。
 甘い――甘い、蕩けそうに甘い唇。
 いつまでも味わっていたいが、息継ぎがうまくできない悟空のために一度、少しだけ唇を離す。
「さ……んぞ、気持ち、いぃ?」
 と、震えるような声が問いかけてきて、三蔵は微かに苦笑じみた笑みを浮かべる。
「んなの、自分でわかるだろ?」
「ひゃ、あ……んっ」
 軽く揺すりあげてやると、悟空は身を固くして三蔵に縋りついてきた。同時に締めつけがきつくなって、三蔵も少し息をつめる。
「俺がどう感じてるか、なんて聞くまでもねぇだろうが」
 吐息の混じる囁き声、なによりも自分の身の内に感じているはずの熱い滾りがすべてを物語っているだろうに。
「で……もっ」
 悟空は納得していないようで、涙が滲む目で三蔵を見つめる。
 金色の瞳が鮮やかに闇に浮かびあがる。月は悟空の背後にあるのだからあまりわからないはずなのに、涙を湛えた瞳は妖しく揺れて三蔵を誘う。
 ――悟空本人は決して気付かぬ色香でもって。
「……ったく」
 小さく舌打ちし、三蔵はもう一度悟空の唇を奪う。
 甘い唇も、触れればどこもかしこも敏感に反応を返す体も、なにもかもが三蔵を煽り、手に入れてもまだ足りずに、もっと欲しいと貪欲にもとめるものなのに。
「う、あ……っ」
 キスをしながら悟空が緩く動き出した。が、少し苦しそうな声をあげると、微かに頭を振って唇を離す。
「無理すんな」
 自分のうえにいる悟空の体を抱えるようにして、三蔵はその動きを止めようとするが。
「やっ」
 悟空は三蔵の腕を掴んで、させじとやっきになる。
「頑固者」
 低く呟いて、三蔵は目の前にある胸の尖りに唇を寄せた。


continue・・・