ハム三蔵のお話 3
あの事件以来、ゲージから外されたままになっていた車輪のおもちゃ。
捨てるのもなんだかもったいない気がしてずっとテーブルの端に置いたままになっていた。それを指で玩びながら他にどんなおもちゃがあったっけな、なんてペットショップの品揃えを思い出してみる。
「ねえ、さんぞ。」
「あ?」
「三蔵はどんなおもちゃが好き?」
「…………。」
「他の運動グッズとか買ってみよっか?」
「………それはもういい。」
「んー、でも俺がいない時とか三蔵ヒマだろ??」
「じゃあアレでも戻しとけ。」
「アレ?」
「……てめえがなけなしの金で買ってきたこの間のやつだ。」
「な、なけなしって言うなよっ!……確かに金持ちじゃないけど、さ」
「フン、本当のことじゃねーか。」
「……イジワルさんぞー」
「ただし、あれをつけたらここが狭くなるからな。寝床はベッドの上に移せよ?」
「今だってベッドで寝てんじゃんか」
「……いいからアレ取り付けてさっさと寝るぞ。」
「もーっ、エラソーなんだから、さんぞーはっ」
口で文句を言いつつも、買ってきたおもちゃをいらないと言われなかったことが。
寧ろ大切にしようと三蔵が思ってくれていることが嬉しくて、にやける顔を隠しきれないまま三蔵を抱っこしてベッドの寝床に運んであげた。
ふわふわの毛並みを確認するようにひと撫で。
丸くなった背中にチュッと触れるか触れないかのキスを落としてやればビクリと跳ねるカラダ。なんだかそんな三蔵がとっても愛おしくてエヘヘと照れ笑いがこぼれる。
「おやすみ、さんぞ」
「……ああ」
いつもより優しい気持ちで眠ったその日、車輪を豪快に回す三蔵の夢を見た。
みけさま@辻風
あんなことがあったのに、ちゃんと飼ってきた車輪を使うとは。ホントにツンデレですね。でもって、悟空は天然な気がします。
それにしてもツンデレなハム三蔵ってきゅんきゅん(←死語?)します。
みけさま、お話を3つもありがとうございました。今後も期待してます!