それは戦い
舞い散る落ち葉を捕まえようとはしゃぐ小猿が一匹。
もとい、子供が一人。
というか、もう「子供」ではないのに、よくもまぁ、こんなことではしゃげるなと、半ば感心しつつ窓からその様子を見守る。
と、同じように隣で見守っていた美人がため息をひとつついた。
「どうかした?」
気になって声をかける。
「いいえ。なんだか、な、と思いまして」
なんとなく物憂げな雰囲気を漂わせて、緑の目の美人が答える。
窓の外では、はしゃぐ子供が近づいてきた金髪の美丈夫に気づき、とびきりの笑顔を見せた。
「息子を嫁に取られた母親って、こんな気持ちなんでしょうかね……」
……えぇっと。
いろいろツッコミたいところはあるが、とりあえず。
どっちかってーと、娘を嫁に出す父親って言わねぇかな、とか思う。
が。
「悟空。美味しいケーキがありますよ。お茶にしましょう」
八戒が窓から声をかけ。
その言葉に、小猿ちゃんが嬉しそうな顔をしたとき。
小猿ちゃんのそばにいる三蔵と、八戒の間で、バチバチと火花が散った。
マジ、視覚的に火花が見えた。
で、納得する。
確かにこれは「嫁VS姑」かもしんない……。
急に三蔵の腕の中に戒められて、不思議そうな顔をする小猿ちゃんに。
なんとなく同情めいた感情を覚えた。