【原作寺院設定】 * 注意
除夜の鐘


2007年1月1日


 遠くで鐘の音が響き始めた。

「……もうすぐ……新年……?」

 荒い息とともに、体の下に組み敷いた悟空が問いかけるように、視線をあげた。

「あぁ、そうだな」

 答えてから、唇を塞ぐ。
 舌を差し入れて、かき回し、唾液を交換するように舌を絡める。

 甘い。

 どうして、こんなにも甘いのだろう。
 それは唇だけではなくて。

 鳴り響く鐘の音を遠くで聞きながら、もっと近くにとその体を引き寄せる。
 もっと近くに。
 隙間なく、ぴったりと重なるように。

「さ……んぞっ」

 呼ばれるその名が、鐘の音に重なって。
 思わず自嘲の笑みがこぼれる。
 なにが煩悩を払う鐘だ。
 煩悩とは一番無縁の位置にいるはずの最高僧自らが、それに囚われ、溺れているというのに。 
 それでも。
 どんな美酒よりも甘く酔わせるその肢体。

「ん……ぁ……っ」

 そして、どんなに切なく響いても、甘く聞こえる声。
 このまま溺れてしまっても良いのでは、思える。

 否。
 このまま溺れてしまった方が良いのだろう。
 なによりも満たされるものがここにあるのだから。
 身体も。
 そして、精神も。

「悟空―――」

 囁いて、極上の笑みを浮かべるその顔に、羽のようなキスを落とした。


(memo)
 …去年もこんなん書いていたのか。(39junkieの投稿作品と同じシチュエーション)
 進歩がないですね。しみじみ。