2. おそろい
「上でマグカップが見たい」
近くのスーパーに買い物にきて、ふと思いたった。
三蔵のところにあるカップは綺麗で繊細なのばかりで、なんとなく扱いに注意しなくちゃいけないような気がして落ち着かなかったのだ。
ここの上には100円均一があって、マグカップも売っている。
そういうのなら、多少乱暴に扱っても大丈夫だし。
そう思って売り場に来てみれば、意外とたくさんの種類のマグカップが並んでいた。
ここのが全部が100円って、不思議。
いつ来ても思うことも思う。
なんでそんなに安いんだろ。
ま、それはさておき、目についたマグカップを手に取る。
シンプルな白のマグカップ。
縁のところと底にだけ色がついている。
全部で七色。
虹をイメージしてるのだろうか。
うーん、と悩む。
「決まったのか?」
と、他のところを見ていた三蔵がやってきた。
「あ、うん」
手にしていたマグカップをカゴのなかに入れる。
さて、行くかと歩きだそうとしたところ。
ひょい、と三蔵が棚からもうひとつマグカップをとってカゴに入れた。
「三蔵」
「なんだ?」
「ううん。なんでもない」
首を横に振る。
カゴのなかには紫と黄色のマグカップ。
寄り添うようなそれを見ているうちに自然と笑みがこぼれた。