Addiction(3)


「……だから、なんで当然のように入ってくんだよ」

布団を敷いて、さぁ寝るぞという段階で、布団に入ってくる三蔵を押し戻す。

「三蔵はあっち」

炬燵を指さす。

「明日、ようやく休みだから、布団、買いに行ってやるから、今日はあっちで寝て」
「必要ねぇよ、そんなモン」
「って、ずっと炬燵はヤだろ」
「だから別にいいだろ、ここで」

布団を捲り上げようとする三蔵を阻止しようと布団を押さえ込む。

「良くないっ。俺は手足を伸ばして寝たいの。三蔵と一緒だとできないだろっ」
「いつも気持ちよさそうにすぐ寝ちまうだろうが」

腕のなかに抱き込まれて。
その温かさが、反射的に蘇ってくる。
そこにいればなにもかもが大丈夫のような、そんな気になる。
それはいままでに感じたことのない安心。

いや、ひとりだけ。
俺を育ててくれた人のそばにいるときと似てる。

――でもやっぱりちょっと違う。
この人のそばにいると、鼓動が速まるから。
ドキドキして、それで――。

でも慣れてしまってはいけないと思う、その温かさに。
ずっとそばにあるものではないのだから。

「んなことねぇもんっ。ひとりのがよっぽどぐっすり眠れる」

そう言うと、電気を消した闇のなかでも、三蔵がむっとしたのがわかった。

「意地張るな」
「意地じゃねぇよ。だいたいな、人の都合もなくいきなり押しかけてきといてよく言う。別に俺は三蔵にいて欲しいなんて一度も言ってねぇ」

売り言葉に買い言葉。
そんな感じで出た言葉だった。
が。
無言のまま、三蔵が立ち上がる気配。そのまま戸口にと向かう。

「……さんぞ?」

少しびっくりする。
こんな風に自分から出て行こうとするなんて、今までになかったから。

――出て行く?

「お前の頭が冷えるまでしばらく教会にいる」

パタン、と音を立てて扉が閉まった。