Addiction(7)
「三蔵」
布団を敷き終わって、部屋の片隅になんだかぼーっと座っている三蔵に声をかける。
が、返事どころか、こっちを見もしない。
「三蔵?」
もう一度声をかける。
と、ようやく顔があがった。
「もう寝るけど?」
「あぁ」
短く答えると、三蔵がゆっくりと近づいてきた。
「三蔵、具合でも悪い?」
なんとなく動作が緩慢だ。
今日は朝からこんな調子で、それにもともと色の白い人だけど、なんかちょっと顔色が悪いような気がする。
「別に」
ふわりと抱きしめられた。
三蔵の方が体温が低いのに、いっつもあったかいって思う。
自然に身を任せていたら。
「……っ」
首筋に三蔵の唇の感触。反射的にビクってしてしまう。
怖い――わけではないのだけど。
固まっていたら、三蔵が離れていった。
「寝るぞ」
ぎゅっと抱きしめられる。
「ん。でも、三蔵……」
顔をあげると深い紫の瞳と目が合った。
綺麗な、綺麗な紫。
なにかを言おうとして呼びかけたわけではないが。
もう一度抱きしめられて、言葉は淡雪のように消えてしまった。