Addiction(33)
久し振りの休日。
家でのんびりとテレビを見ていたら、後ろから抱きしめられた。
「……三蔵」
前と同じで『構え』ということだろうか。でもな。この番組、見たいんだよな。
「別に邪魔はしてねぇだろ」
……それはそうなんだけど。
この体勢でも見れるんだけど。
「暑いし」
梅雨が明けた途端、なんだかものすごい暑さになった。
この辺はまだ緑が多いせいか、ニュースになってる『猛暑日』まではいってないけど、でもそれもギリギリいってないというだけで、暑くないというわけではない。
自分ひとりだったら、それでも一番暑い時間帯以外は窓全開でしのぐんだけど。
なんか三蔵は暑さに弱いらしくて、それだとぐったりして動かなくなっちゃうんで、クーラーを入れてあげていた。
けど、高めな設定にして。
だから、こうやってくっつかれると……暑い。
「少しくらい我慢しろ」
「って、それを三蔵が言う?」
呆れて返すが、ふと気づく。
「もしかして三蔵、血が足りてない?」
振り返って聞くと、ちょっとだけ――なんだろう、淋しげな笑みが浮かんだ。
「……こうしていれば大丈夫だ」
「三蔵?」
「それより、ほら、始まったぞ」
この言葉にテレビに視線を移す。
こんな風に抱きしめられているのはちょっと落ち着かないような気がしていたんだけど。
なんだろ。
そのうち普通にテレビを見ている自分に気がついた。
そっと窺うと、三蔵も一緒になってテレビを見ているようで。
なんとなく、まぁいいかという気になった。