【原作設定】
もっと


2007年7月14日


「や、もっと……」

 離れていく体を追って手を伸ばした。
 と、呆れたような溜息が上から降ってくる。

「これ以上したら、明日、辛いだろうが」
「大丈夫」

 背中に手をまわして引き寄せる。
 少し、汗ばんだ肌。
 三蔵の匂いが強くする。

「もっと、ほしい」

 いっぱいに吸い込んで、ぎゅっと抱きしめる。
 普段より少し高い体温。
 もっと、もっと熱くなってこのままぐずぐずに溶けあえればいいのに、と思う。
 だけど。
 そっと体が引き離された。

「三蔵」

 すがりつくように腕に手をかける。

「大丈夫だって。ちゃんと、戦える。迷惑なんかかけない」

 西への旅は危険に満ちていて。
 一人でも戦力が欠ければ辛いことになる。みんなに迷惑がかかる。

「……バカ猿。だれがそんな心配をした」

 目もとに柔らかなキスがおりてきた。
 三蔵が無愛想で仏頂面だって、誰がいったんだろう。
 目に宿る光も、微かに浮かぶ笑みも優しいもので。

「さんぞ……」

 触れるキスも優しくて。
 わけもなく泣いてしまいそうになる。

「知らねぇぞ。明日、足腰たたなくなってても」
「だい……じょうぶ……っ」

 内腿を辿っていく、熱い手に息をのむ。

「三蔵……」

 もう一度、背中に手をまわしてその胸に顔を埋めた。