【原作設定】
勝負の行方


2008年3月21日


 体が弛緩するのと同時に大きく息をついた。
 自分の吐息がひどく甘く感じられる。

「ん……っ」

 やがて出ていく三蔵の感触にひどく淋しくなって。
 ずっとこのまま触れ合っていられたらいいのに、と切なくなる。

なのに。

「……なに、締めつけてやがる」

 そんなことをいわれて、むっと唇と突き出す。
 と、柔らかくキスが降ってきた。

 我ながら単純だと思うが、それだけで機嫌が直ってしまう。
 すりっと三蔵に身を寄せて聞いてみた。

「な、三蔵はどうして俺とこんなことをするの?」

 微かな動きが伝わってきて、三蔵が驚いているのがわかった。
 見上げた表情にはそんなのは全然出てなかったけど。

「……嫌か?」

 ややあって、三蔵が聞いてきた。

「んーんー」

 首を横に振る。

「気持ちいいから嫌じゃない」
「そうか」

 目蓋の上に、優しく唇が触れた。





 なにもわからずに衝動的に体から始まった関係。

 好きだ、と。
 だからこそなのだ、と気づいたのは後になってからだった。

 だけど、それを素直に告げるのは。
 なんだか負けるような気がして悔しい。

 それに。
 三蔵の場合、そのことにすら気づいてないってこともありえるし。
 ホントにニプイから。





 だから。

 どちらが先に告げるのか。
 それは勝負みたいなモンだと思う。



 そして。

――この勝負の行方はまだわからない。