【原作寺院設定】
そのうち


2008年12月05日


三蔵が戻ってきた気配がした。
門のところまで走ると、たくさんの坊さんたちが深々とお辞儀をしてるのが見えた。
その間をすり抜けて、てててと三蔵の傍に寄る。

「三蔵」

おかえり、といおうとしたのに、いきなり拉致られた。

「少し寝る。しばらくだれも来るな」

三蔵は思いっきり不機嫌な声で周囲の坊さんたちにいうと、俺を引きずってずんずんと歩いていく。
向かった先は寝室。
そして。
そのまま三蔵は寝台に沈んだ。

それからしばらくのちのこと。
隣で微かに寝息をたて、ぐっすりと眠る三蔵を見つめる。

はああぁっと大きな溜息をつく。
俺はべつに眠くないんだけど、な。
しっかりと抱き込まれてて、抜け出せない。

三蔵、ちゃんとわかってるのかな。
この抱き枕には手も足も目も口もついてるんだぞ。

「いたずらしちゃうぞ」

腕から抜け出せないけど、近づけはするので。
そっと三蔵の唇にキスを落とす。

けど、三蔵は起きやしない。
ぶぅ。

「いつまでもそんなんだったら、そのうち襲っちゃうからな」

呟いて、眠くないけど、他にすることもないんで仕方なく目を閉じた。
ホントにマジ、襲っちゃってもいいんだけどね、と思いながら。