【原作設定】
奪われるつもりも捧げるつもりもなく


2009年7月26日


「……っ」

その瞬間はいつも息をつめてしまう。
少しは慣れたいまでも。
だからそれとわからないくらいに、三蔵が心配そうな顔をする。

女の人となら、こんなに準備に時間がかからないと聞いたことがある。
そういうのを商売にしていて、後腐れなくできる女の人もいるんだ、というのも。

だけど。
三蔵が手を伸ばすのは俺だけだ。


傍から見れば、とても不自然なことなのだろうけど。
でも。
奪われるつもりも、捧げるつもりもなく、ただ――。

「さん、ぞ……」

息を吐き出すようにして名前を呼び、手を伸ばす。
引き寄せて、軽く額に唇を落とす。


大丈夫だよ。
だって――。




あなたは俺のものだから。


自然と口元に笑みが浮かんでくる。
そして、三蔵のくれる快楽に身を任せた。