【原作設定】
リフレイン



 カチリ、と微かな音がして、闇の中にぼぅっと微かな光がともった。
 独特の香が流れてくる。
「三蔵」
 手を伸ばすが届かず、力の入らない体をむりやり持ち上げて、小さな明かりをとりあげる。
 途端に不満そうに結ばれる唇に、唇を重ねて。
 灰皿に煙草を押しつけて、その頭を抱え込むように手を添えた。
「三蔵、大好き」
 囁いて、もう一度、唇を重ねる。
 ううん。
 もう一度、だけでなく。何度も。
「大好き」
 その囁きとともに。
「……誘ってるのか?」
 何度目かのキスのあとに、三蔵がそう言う。
「そうかもね」
 微かに笑って、またキスをする。
 舌先を絡めて、じゃれあうように。
 だけど、戯れているだけでは終わらない。
「大好き」
 だんだんと熱くなる体に、囁く言葉にも熱がこもる。
 こぼれる吐息も熱くなる。
「大好き」
 もう何度目だろう。
 そう囁いたとき、ふわん、と一瞬、体が浮いたような気がした。
 そして次の瞬間、背中に柔らかいものがあたり、ベッドに仰向けに寝かされたことを知る。
 視界いっぱいに、三蔵の綺麗な顔。
 笑みを浮かべて、金の髪に指をすべらせ。
 それしか知らないかのように繰り返した。
「大好き」
 大好き。
 いつかその言葉が、あなたのいない闇を照らす光となる。
 その言葉とともに思い出すこの想いが、きっと俺を救う唯一のものとなる。
 それは遠い未来。
 けれども。
 いつかは確実にやってくる。
 だから。
 大好き。
 いつまでも覚えていられるよう。
 何度でも繰り返す。

 ――あなたが好きです。