Little Ordinaries (11)


不意にキスされた。

「甘ぇ」

唇が離れていくのと同時に三蔵が呟く。
その言葉に少し笑う。

「飴、舐めてるから」

舌の上に乗せて、口を開いて見せた。と、三蔵の顔がまた近づいてきた。

「っ!」

一瞬、転がり落ちるんじゃないかと思ったけど、飴はコロンと三蔵の方に移動する。そのままコロコロと転がっては溶けていき、甘い味が口の中に広がる。

「美味しい? 新製品だって。道で配ってたの」

キスの合間に、ほとんど唇が触れ合うくらいのところで囁く。

「甘ぇよ」

三蔵はそう返し、飴も返ってくる。

本当に甘い。

吐息まで甘くて、部屋中を甘い香りが満たしていくみたい。
いつもとは違う味と香り。
なんだか不思議。
甘くて、飴と一緒に溶けていきそう。

「悟空……」

三蔵の囁き声も甘い。
片手が腰に回って、もっと近くにと引き寄せられる。

「さ……んぞ……」

そしてもう片方の手に、三蔵の胸元を掴んでいた手を包み込まれる。

重なる体。絡める指先。そして、互いの熱で溶けていく飴。

甘い、甘い――いつもよりも甘いキス。