Don't You Want Me Any More? (5)


翌日。
バイトから戻ると、リビングに三蔵がいた。

「なんで?」

びっくりする。
一週間、帰らないんじゃ……。
「随分なご挨拶だな。必要なものがあって取りに戻ったついでに顔だけ見ていこうと思ったんだか」

こちらに向かって、手が伸ばされる。

「邪魔だったか?」
「なわけないだろ」

手を取ると、引き寄せられた。

「泣いてねぇな」
「三蔵が恋しくて? お生憎さま、淋しくなんかないよーだ」

そんなことを言ってみる。
だけど、三蔵の腕の中。
一番心地よくて安心できる場所。
ふっと力を抜くと、抱きしめられた腕に力が入った。

「三蔵」

見上げると、綺麗な顔が目に入った。
あぁ。ホントに。

「大好き……」

呟くと綺麗な顔が近づいてきた。
唇が触れる瞬間、テーブルの上に置かれた三蔵の携帯が鳴った。

「三蔵……電話……」
「ほっとけ」
「でも……」

続けようとした言葉は、三蔵の唇に遮られる。

優しく触れるキスは、すぐに深くなる。
互いに交換するかのような唾液は甘い。
すごく甘い。
その甘さは体中に広がっていくようで。
溶けていくような感覚はすごく気持ち良い。

だけど。
だけど、足りない。

これだけじゃ、足りない。

「さんぞ……、ね? 俺のこと、好き? ちゃんと、好き……?」

わからせてほしい。
それを。

「さん……ぞ……」

だから。

だから――。


(→おまけ)
※パスワード要
(読まなくても通じます。別館案内をご覧ください)