Don't You Want Me Any More? (6)


静かな部屋のなか。
荒く繰り返す自分の呼吸の音がやけに耳につく。
体が、重い。
それは先程の余韻。
触れられて、いつもよりも性急に高みにと連れて行かれた。

だけど――。

「大丈夫か?」

三蔵の声がした。

「……やだって、ゆったのに……」

呟くとぽろりと涙が零れ落ちた。
それまで泣くなんて思ってもみなかったが、一度、涙が溢れ出すと止められなくなった。

「もっと……ゆっくりって、ゆったのに」

欲しかったのは、あんな快楽じゃなかった。
もっと優しいものが欲しかったのに。

ひどく乱暴で。
まるで快楽だけを追っているような――。

震える唇を噛みしめる。
と、ふわりと抱きしめられた。

「三蔵」

グスグスと泣きながら、三蔵に縋る。
優しく、あやすように三蔵が背中を撫でてくれる。
それを心地よく感じながらも、涙を止めることができない。

いつもなら、こんな風に泣くことはないのだけど。
三蔵が行為の最中に意地悪になることは、よくあることで。
だから、さっきのだって本当はそんなにめずらしいことでもない。

自分で思っている以上に、あの女性のことが気になっている。
そんなことを実感する。

本当に俺のことが好きなの? そうではなくてただ体を繋げることが目的なの?
そんなことが頭に浮かんでくる。

「悪かった」

と、耳元で謝罪の声がした。
あぁいうことをして、三蔵から謝ってくるというのはすごくめずらしいことで、ちょっと驚いて顔をあげる。

「お前、淋しくないなんて言うもんだから……」

三蔵が言い訳めいたようなことを口にし、そっぽを向く。

「三蔵……」

その言葉が。その仕草が。
胸に響いた。

「三蔵」

ぎゅっと抱きつく。
好きだ、と直接言われるよりも、伝わるものがある。

「淋しくないなんて嘘だよ。三蔵がいないと、淋しい、よ」

三蔵が少し驚いたような表情を浮かべてこちらを向いた。
その綺麗な顔に、顔を近づけていく。

「だから、離さないで、ね……」

唇が触れ合う瞬間に囁いた。