Don't You Want Me Any More? (7)


朝の光に目を覚ますと、綺麗な顔に見つめられていた。

「三蔵」

おはようの挨拶の代わりか、キスがひとつ落とされる。

「戻らなかったの?」

忘れ物を取りに来ただけだって言ってたのに。

「目を覚ましたときに一人だったら、淋しがるかと思ってな」
「甘やかしすぎ」

クスクスと笑いながら、なんだか重い体に、ちょっと苦労しつつ起き上がる。

「叔母さん、怒ってるんじゃない?」
「かもな」

行為の最中に何度か電話がかかってきた。
しまいに三蔵が電源を切って放り投げた。
宙を舞う携帯につけられたストラップがやけに目について、なんだかおかしいと思った。
俺とお揃いの可愛い猫がついたストラップ。
あまりに三蔵と合わなくて、でも律儀につけたままにしておいてくれるのが嬉しくて、見るたびに笑みを誘われる。

「早く戻った方がいいんじゃない? 俺なら大丈夫だよ。子供じゃないんだし、一人でお留守番くらいできます」

優しい囁き、優しい抱擁、優しいキス。
たくさん、たくさん与えてもらって、三蔵が話してくれないことは俺にとってはどうでもいいことなんだって思えた。

「それに、三蔵が一人でも淋しくないようにたくさん印をくれたしね。でも」

クスッと笑う。

「消えないうちに帰ってきてね」
「お前、戻れと言いつつ、誘ってるのか?」

少し呆れたかのような声がして、引き寄せられた。

「なんで」

思ったことを口に出しただけなのに、と抗議しようとしたが、唇を塞がれてままならない。
でも、深く重なってくる唇に、まぁいいかと思う。
だけど。

「あのね、今日、俺、友達とライブに行くから遅くなるよ。電話に出なくても心配しないでね、過保護さん」

そう言って、にっと笑うと、三蔵の顔に苦笑が浮かんだ。

「それから、ね、三蔵」

押し倒されていきながらも、言葉を続ける。

「帰ってきたら、その友達と会ってくれる? 幼馴染でね。ちゃんと三蔵のこと、紹介したいから。ちゃんと……恋人、として」

我知らず熱が頬にあがってくる。

「わかった」

三蔵の手が伸びてきて、赤くなった頬を撫でていく。
それはとても優しい、恋人同士の間でするようなもので。

「三蔵、大好き」

嬉しくなって、腕を伸ばして抱きついた。